インプラントの歴史

インプラントの歴史を見てみましょう。
そもそもインプラントとは、体内に埋め込む医療機器の総称で歯の欠損部を補う目的ということでいうと正確にはデンタルインプラントと言います。しかし一般的には、歯科で行われるインプラントが「インプラント」という言葉で広く認知されているようなので以下インプラントという言葉でお話しさせていただきます。インプラントの歴史は古くヨーロッパでは紀元3世紀頃のローマ時代の人骨にインプラントらしきものが埋まっている人骨が発見されています。このように、インプラントの歴史はとても古いのですが、治療法として確立され一般的に普及してきたのはごく最近のことです。
1952年にスウェーデンのブローネマルク博士がチタンと骨の組織が親和性良く結合するオッセオインテグレーションという概念を発表したことによってインプラントは急速に発展してきました。1965年にはスクリュー形のチタン製のインプラントの臨床応用が開始されインプラントの臨床成績は著しく向上しました。このように骨と結合するインプラントの臨床成績が優れていることが広く知られるようになったのは、1980年代になってからです。我々、歯科医師が臨床の現場でインプラントをするようになったのもこの頃からだったと記憶しています。その後もインプラントには様々な改良が加えられ、現在では10~15 年の生存率は上顎で約 90%程度、下顎で 94%程度まで臨床成績がさらに向上しているのです。
約10~15年たっても約9割の方がインプラントを保持しているわけですがケアを継続的にしっかり行っていれば正確な平均寿命はもっと長く40年以上長持ちするケースもあるのです。インプラントには、入れ歯のような鬱陶しさがなくブリッジのように欠損部の両隣の歯の健康な歯を削る必要がないなどのメリットもありますが費用が高い、オペが必要、治療に時間帯がかかるなどのデメリットもあります。歯を失った場合はブリッジ、入れ歯、インプラントの中から患者さん個々にあった方法を選択して快適な食生活を送れるようしていきましょう。

当院施術例、左下にインプラント2本を埋入しブリッジで修復した症例

執筆者:上村 英之(Hideyuki Kamimura)
医療法人社団マハロ会 理事長 / 日本抗加齢医学会 専門医

歯科医師として「予防歯科を通じた全身の健康と幸福」を追求し、東京・千葉・埼玉に5つの大規模歯科医院を展開。
日本抗加齢医学会専門医をはじめ、日本アンチエイジング歯科学会認定医、日本禁煙学会認定指導医、日本口臭学会認定医など、予防・未病改善に関する数多くの専門資格を保持する。 一口腔単位の治療にとどまらず、ドライマウスや口臭外来、生活習慣改善までを網羅する包括的歯科医療を実践。
著書に『歯を健康にしてアンチエイジングを手に入れる方法』、『歯科革命3.0』があり、歯科医療と長寿社会の融合を提唱。現在は一般社団法人日中友好予防歯科協会 理事長として、アジア圏における予防医学の普及と歯科医療のDX化を牽引している。